日本の強みとターン制ゲームについて考える【行動経済学がパリ五輪を支配する#最終回】

全7回でお送りした【行動経済学がパリ五輪を支配する】も、今回が最終回です。選手の活躍や審判の判定など、様々な観点からオリンピックを振り返っています。

もし、まだ読んだことがない記事があれば、ぜひ読んでみてください!

今泉拓氏が考える柔道の判定結果【行動経済学がパリ五輪を支配する#1】

出版甲子園発『行動経済学が勝敗を支配する』発売記念として、著者である今泉拓氏が独自の目線でオリンピックを語ります!

連日、とても盛り上がりをみせたパリオリンピック。日本もメダルラッシュが続き、選手たちの勇姿に感動する声が多く寄せられました。

その中で、フェンシングで日本はメダルを計5つ獲得し、大活躍しました。『行動経済学が勝敗を支配する』の執筆者でスポーツアナリストであり、行動経済学とスポーツ分析を掛け合わせた研究を行っている今泉拓氏は、なぜこれほどのメダルを得ることが出来たのかを、ターン制競技の視点から注目した。

ターン制競技というものは、日本ではとても身近なもので、主にスポーツだと野球が挙げられ、文化としてはカードゲームがあり、子供の頃から慣れ親しんだものが多くあります。

ターン制競技の特徴は、相手のターン中に、攻撃や妨害ができないことです。つまり、自分の作戦を大いに発揮できて、相手のプレーを妨害しないような、されないような競技スタイルです。日本人の国民性により、このような競技を得意とする傾向があります。

そのため、フェンシングのような優先権のある競技では、ターン制競技を得意とする日本と相性が良く、多く獲得できる理由の一つになると考えられます。

ターン制競技と似ているものとして、採点競技も考えられます。今回のオリンピックでは体操、スケートボードでも輝かしい結果が多く残されています。その理由として、採点競技も自分の作戦を大いに発揮できて、相手のプレーを妨害しないような、されないような競技スタイルだということも考えられそうです。

対して、サッカーやバスケ、バレーボールではとても惜しい結果が続きました。

これらのスポーツは全てターン制ではない競技です。つまり、相手のプレーを阻止したり、相手によって作戦を臨機応変に対応することが求められやすいスポーツです。

日本人の国民性として、自分の作戦を練ったり、準備期間に完璧にすることを得意とします。また、相手を妨害することや正々堂々とプレーしないことを嫌う傾向があります。

そのため、サッカーのようなターン制ではない競技の日本代表は*保有効果によって不利になってしまう場合があるかもしれません。

*保有効果とは、自分の持っているものや行ってきたことを高く評価することです。

例えば、A作戦をずっと練習してきたが相手に攻略されてしまった時に、「いや、このA作戦で勝てるはず!」と思い込んでしまい、即座に作戦変更することを断念して負けてしまうパターンがあります。

そのため、ターン制競技ではないスポーツでは、サッカーのセットプレーのようなその競技を上手くターン制の競技のように解釈をして日本の得意とする作戦を立てたりして、強みを生かすことが、今後のさらなる飛躍の要因になると考えます。

『行動経済学が勝敗を支配する』日本実業出版社

著者:今泉拓

東京大学大学院学際情報学府博士課程に所属。認知科学・行動経済学の研究をしている。学部時代からスポーツ分析にも取り組み、行動経済学✕スポーツで第18回出版甲子園準優勝を経験。日本実業出版社より『行動経済学が勝敗を支配する-世界的アスリートも”つい”やってしまう不合理な選択-』を出版。

発売日: 2024/06/14
ISBN:978-4534061102
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