「学生の私が本を書けたワケ」━小学生から商業出版へ━第19回大会グランプリ受賞者ぴょんぴょんさん

  学生商業出版コンテスト「出版甲子園」。独自の視点を持つ学生が、実行委員と企画のブラッシュアップを重ねて商業出版を目指す。今回は大会への応募を検討している方々に向けて、第19回大会でグランプリを受賞し「あっ、書けちゃった!小学生による小学生のための作文の書き方」を出版したぴょんぴょんさんから話を聞いた。(取材・広報局 河野日奈

──出版甲子園の存在を認知したきっかけは何だったのでしょうか

 きっかけはSNSです。私はもともと『ふしぎ発見!』というテレビ番組が好きでよく観ていたのですが、そこでミステリーハンターを務めていた篠原かをりさんの大ファンになりました。その篠原さんのSNSに出版甲子園のことが掲載されていて、そこで出版甲子園の存在を知りました。

── 応募の動機という点でも、篠原さんの影響が大きかったのですか

 はい!

 篠原さんのSNSで、篠原さんの夫であるQuizKnockの河村拓哉さんが19回大会のゲスト審査員になることを知りました。また、篠原さん自身も10回大会でグランプリを受賞していらっしゃると知り、篠原さんに続きたいという思いで応募を決めました。

 もともと、篠原さんに会うときはファンとしてではなく、同じ作家としてお会いたいと自分の中で決めていたので、決勝大会でその夢が叶ってとても嬉しかったです。

壁に貼られた紙

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(写真1:書くときの道具の写真)

── 企画応募にあたって苦労した点はありましたか

 私はパソコンで文字を打つことに慣れていなかったため、私が紙に書いたものを母に打ち込んでもらっていました。その作業には時間がかかったので大変でした。

また、義務教育期間ということもあって時間を確保することが大変でした。お風呂に入って、頭がすっきりした後に作業に取り組むことをルーティーン化していました。

──では、企画応募の際に意識した点はありましたか

 子ども目線の企画だと分かってもらうためにはどうするべきかを考えました。練習問題などで力をつけることを目的にする既存の作文の本や普通のHow to本とは違って、みんなの作文を一緒に作り上げていくための本にすることを意識していました。

【当時の応募フォーム】

あれ!書けちゃった! 小学生による小学生のための 作文のかきかた

〈企画内容〉
実際の小学生が書いた!作文が苦手にならない作文の書き方の本(テーマ)
この本は、小学生を対象にした、「作文が苦手にならないような作文の書き方」の本です。私は、日本中に緊急事態宣言が出ていた年に入学を迎えた小学生です。学校が始まらず、ずっと家にいるしかなかったときに母が提案してくれたことが「作文を書くこと」でした。実際に自分がしていた作文の作り方を紹介したいと思っています。家族に手伝ってもらったほうが書きやすいこと、自分一人でしたほうがいいことなどを、小学生の目線でわかりやすく整理していくことで、読んだ人が「自分も書いてみようかな」と思えるような、作文の道しるべになれる本を目指します。本屋さんの参考書や問題集のコーナーにはたくさんの作文の書き方の本があります。でも、それらは大人が書いた本なのです。ゲームのように組み合わせていけば作文が書きあがる、この本を読んだらいつのまにか作文が出来上がっている魔法の本です。「小学生(子供)自身が手に取りたくなる」本です。

〈自己アピール〉
私は作文が好きです。作文に限らず、短歌や俳句も含めて自分の考えを文字にするのが好きなのです。今までにコンクールに応募し、受賞した作品は文部科学大臣賞や全国グランプリになったものを含め50を超えました。そのほとんどは、普段の生活の中のことが題材になっています。まわりに作文が好きな仲間が増えてくれたら、とてもうれしいです。お互いに書いたものを読んで意見を交換できる、そんな仲間が増えたらいいと思っています。

〈目次案〉
第一章:はじめに
第二章:短冊法
 1.順番なんて関係ない!覚えていることを書きまくろう
 2.ちょっと工作タイム!チョキチョキタイムでクールダウン
 3.短冊かるた開始!同じ短冊をみつけていこう!
 4.短冊、整列!
 5.あれ、できちゃった!ちょっとお出かけ用におしゃれしよう
第三章:イメージマップ法
 1.中心となる出来事を決めよう
 2.枝分かれ!そして枝分かれ!仲間を見つけて増やしていこう
 3.その仲間、あれの仲間にもなれますか?
 4.大きなマップに色を付けよう
 5.どこつかう?メンバーの配置を決めよう
 6.メンバーのプロフィールを説明しよう
 7.順番に並べ替えて、あれ、できちゃった!
第四章 設計法
 1.はじめ なか おわり
 2.「なか」を半分!チーム分け!
 3.はじめとおわりは実は仲良し
 4.全体整列!設計図に戻れ!・・・あれ!できちゃった!
第五章 おわりに

〈企画のねらい〉
小学校に入学して4年たちましたが、学校では「書道」や「読書」の時間はあっても「作文」の授業はほとんどありません。でも夏休みや冬休みには必ずといっていいほど「作文」の宿題があるのです。「作り方がわからないものを自分で作り上げる」こと。これが作文を苦手な小学生が多い原因ではないかと思いました。初めて作文を書こうとする人や、作文に苦手意識がある人にプレゼントしたくなるような本があればいいなと思いました。おしつけがましくない、作文に最初から苦手意識を持たないための入り口としての役割を持てる本にしたいです。

──実際に、ぴょんぴょんさんの周りにも作文が苦手というご友人が多いですか

 はい。

 ドリル形式だとやる気が出ないし、ドリルはできても実際に書くのは難しいという人が多かったです。友達にはゲーム好きな子が多くて、その中でも特に自分で何かを作り上げていくゲームが人気でした。だから、自分で作り上げる形式の本にしたいと思いました。

──現在、出版に向けて作業を進めていると思います。企画出版の段階ではどんな苦労がありますか

 普段作文を書くときは自分の気持ちを伝えるために書いていますが、今回は「作文を書く」という行動を伝えなければならず、そこが難しいと感じました。

 小さな子どもにも伝わるような表現にしたり、語り口調を取り入れたりして工夫しました。読者として想定している同年代の友達にアドバイスをもらうこともありました。

テキスト, 手紙

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(写真3:修正後の企画書の写真)

──出版甲子園では、決勝大会に向けての時期から実際の出版まで担当者が付く制度があります。この制度についてはどう思いますか

 打ち合わせに毎回同じ方が来てくれるので、安心できました。決勝大会の日も、プレゼンの直前に励ましの言葉をくれたおかげで安心して臨むことができました。私は一人っ子ということもあり、お兄さん・お姉さんの存在はとても心強かったです。

テキスト, 手紙

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(写真4:祖母宅でも暇さえあれば執筆に励む写真)

──決勝大会の日は、周りが大学生くらいの年齢の方ばかりだったと思いますが、やはり緊張しましたか

 普段、作文の表彰式などで大人に囲まれていることが多いので、私はそこまで緊張しませんでした。

 大人の方が多い発表の場などでは、大きな声ではきはきと話すことと、その場での勢いを大切にすることを意識しています。

──最後に、出版甲子園への応募を考えている方に一言メッセージを

 私は小学生でグランプリをいただいたくことができました。そのように、年齢は関係なく「やろう」という熱意があればなんでもできるということを伝えたいです。

ぴょんぴょん

現役小学6年生。コロナ禍の中、母に提案されて作文を書き始め、初めて書いた作文が入賞したことで作文を書くことの楽しさを感じるようになる。これまでに、文部科学大臣賞をはじめとした98(詩・短歌・俳句を含む)もの賞を受賞。小学4年生だった第19回大会でグランプリを受賞し『あっ、書けちゃった!小学生による小学生のための作文の書き方』を上梓。子どもの視点から、大人の書く参考書とは一味違った作文の本を届けることで、その面白さを伝えていきたいとを考えている。

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