「“学生”の私が本を書けたワケ」人生を変えた執筆経験-霜田明寛さん-

 学生商業出版コンテスト「出版甲子園」。独自の視点を持つ学生たちが、実行委員と企画のブラッシュアップを重ねて商業出版を目指す。今回は大会への応募を検討している学生に向けて、第4回大会準グランプリを獲得し、『パンチラ見せれば通るわよっ!:テレビ局就活の極意』を出版した霜田明寛さんから話を聞いた。(取材:広報局 中部百合子、大原智美) 

 霜田さんは2009年に出版甲子園から自身の就活の経験を綴った、『パンチラ見せれば通るわよっ!: テレビ局就活の極意』を商業出版されています。

 現在もウェブマガジンの編集者をするかたわら執筆活動を続けられており、新潮新書『ジャニーズは努力が9割』などの著作があります。

──出版甲子園に応募したきっかけは何ですか?

 アナウンサー試験を中心とした就職活動に行き詰まっている時、大学で偶然出版甲子園のビラが貼ってあるのを目にしたことですね。内定がもらえずに絶望している中、なんとか自分の名前で世に出なければならないと思っていました。当時はSNSで注目されて出版なんてこともなかったので、大会で認められて出版すればとりあえずいい方向に向かうのではないか、といった気持ちが大きかったです。

 自分はそれまで本を書いたことなどありませんでしたし、特別文章が書ける人間だとも思っていませんでした。ただ、出版甲子園は決勝大会がプレゼン形式だったので、それなら自分に向いている、いけると思いました。

──企画応募にあたり苦労したこと・印象に残っていることはありますか?

 企画の発想自体はすぐに出てきました。当時は内定が全くもらえていない状況だったのですが、それでも最終面接まで残ることはよくあったんです。テレビ局の就職活動は最終面接に残る人数も少ないですし、後輩から就活の相談を受ける中で、自分が最終面接までどう行きついたか、その情報にはすごく価値があることに気がつきました。

 苦労したことといえば、決勝大会でとある書店員の審査員の方から「パンチラ見せれば通るわよっ!」というタイトルに対して「うちの書店の棚に並べたいタイトルではない」という厳しい声をいただいたのですが、それが当時としては辛かったですね。それまで出版甲子園の方からの反応は良かったので少しショックでしたし、プロの大人の一言は空気を一変させるし、若者の人生を変えかねないのだなと肌で感じて、自分が大人になった今もそういった言葉を発さないよう肝に銘じています。

──書籍化に向けての執筆段階で苦労したこと・印象に残っていることはありますか?

 執筆をすること自体で苦労したというよりも、実際に出版社と話し合っていく中で、出版甲子園の皆さんと考えていた「こういう本にしよう」という理想の形のまま出版するのが思ったよりも難しかったです。最終的には自分が思い描くような形で受け入れてくれるところで出版しましたが、タイトルや内容について改良を求められたりしたこともありましたからね。

──企画出版が霜田さんの人生においてどのような影響を与えましたか?

 就職活動に途方に迷っていた大学生が、書籍をきっかけに就職活動セミナーの講師として大学に呼ばれたり、その後も書籍を出し続けるくらいですから、この経験がその後の人生の方向性を決めたといっても過言ではないくらい、大きな影響を受けました。初めての執筆活動でしたが、やってみたら全然辛くない、これなら一生の仕事としてやっていけるのではないかということに気がついた瞬間でもありました。むしろこんな楽しいことでお金をもらえるなんて、と衝撃を受けたくらいです。

(講演を行う霜田さん)

──出版甲子園の担当者制度についてお聞かせください。

 そうですね、本を出すにあたって自分が何をすればいいのかなどの情報が全くなかったので、その部分では非常に助けられました。実はタイトルである「パンチラ見せれば通るわよっ!」も、担当についてくれた方の意見でもあったんです。出版業界への橋渡しとして担当者のような存在がいたということは、自分的にはとても心強かったです。

──出版甲子園への応募を検討している人へのメッセージをお願いします

 自分自身こんなに執筆活動を続けるとは思ってもいませんでした。本を出して20年ほどになりますが、今でも『パンチラ見せれば通るわよっ!: テレビ局就活の極意』を読んでくださった人から仕事の依頼が来ることもありますし、想像のつかない人生の転換をもたらしてくれると思いますよ。

 確かに、自分の企画を認めてくれる審査員の方もいればそうでない方もいます。でも、厳しい声も含めて一度の何人もの意見が聞ける場はやはり貴重です。若いうちに勢いで書いて出すような本は、大人の理解が得られないこともあるでしょう。ただ、今読み返しても、当時23歳で出版した本にはそのときにしか書けない勢いがありますし、だからこそ、当時も読んでくれた大学生が就活セミナーに集まったり、大人になっても覚えていて連絡をくれたりするようなことが起きているのだと思います。大学生の担当者と組んで企画を練る出版甲子園という機会は、その若さの純度が削がれにくい仕組みになっている気がします。その仕組みをうまく利用して、今の皆さんの勢いで出版するという経験は、今しか生み出せない本を創り出すと思いますし、その後の人生にも想像を越えた影響を与えてくれるはずです。

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