「万城目​​​​学×青木悠 京都のはなしと作家のはなし」当日レポート【BOOK MEETS NEXT】

2025年11月20日、早稲田大学小野記念講堂にてトークショー「万城目学(まきめまなぶ)×青木悠(あおきはるか)京都のはなしと作家のはなし」を開催しました。京都にゆかりの深いお二人に京都や作家生活についてのお話をお聞きし、会場には終始ゆったりとした雰囲気が流れていました。その様子をお届けします!

今回ゲストにお迎えしたのは、『鴨川ホルモー』を筆頭に京都などを舞台にユニークな小説を書かれる作家の万城目学さん、そして10月に『京大生、出町にダイブ!京都下町見聞録』で弊団体から作家デビューを果たした青木悠さん。以前から万城目さんのファンだったという青木さんとさすが先輩作家として悠然とされている万城目さんというお二人のトークは、笑いあり、思わず唸る場面ありでした。

Q&Aの形で当日の様子を一部お届けします!

京都にゆかりが深い作家2名によるトークショー

前半は京都にゆかりが深いお二人ということで、京都についてじっくりお話を伺いました。

Q.まずは自己紹介をお願いします。

万城目さん(以下万):自己紹介・・・。(会場笑)1976年2月27日生まれの万城目学と申します。小説家をしておりまして、今日ちょうどここに来る前に原稿用紙100枚くらいの短編を書き上げて、学生さんで言うならば卒論を一本書き上げた2時間後みたいな感じで、開放感に満ち満ちております。今日はよろしくお願いいたします。

青木さん(以下青):2003年5月18日生まれの青木悠です。(会場笑)今日ははるばる京都からやってまいりました。今回このイベントはこの『京大生、出町にダイブ!』という本を書いたということで開催していただくことになりました。今日はよろしくお願いします!

Q.京都の実在の場所を舞台に作品を書かれるお二人は、京都のどのような点に惹かれていらっしゃるのでしょうか。実際の場所を舞台にするのはどのような感覚なのかもお話いただければと思います。

:今、松本清張を読み返しているのですが、しょっちゅう地名が出てくるんです。犯人を追いかけて刑事が執念深く津々浦々追跡するみたいな話が多いんですけど、「広島のS市」とかアルファベットで地名が表記されるんですよ。

当時は匿名性を出した方が雰囲気が出た。それが数十年経って今は具体的に名前を書いた方がリアリティが出るし読み手も面白い。アニメとかもそうですけど、実際にある風景の中にフィクションを入れ込むと、それをファンが見に行くというので。昔は全ての街、全ての通り全部がフィクションで、(実際とは)違うものを描いていたのが今は「この街の、この通りにあの子たちがいる」っていうように流れが具体的な方に行っていて。僕もそこに、知らん間に行ってるなっていうのを自覚する時があります。

:まさに出町でもそういうことがおこっていて。出町桝形商店街という商店街が舞台になっている「たまこまーけっと」というアニメがあって、まさに「この通りのここ」っていうのをポスターやキャッチのイメージとして使われていたりして、それの聖地巡礼をしに来るんです。それでバイトとかしていると、そのアニメのファンに会ったりして・・・。

この本(『京大生、出町にダイブ!京都下町見聞録』)はある種この町に来る人がもっと増えればいいなという思いもあったので、「たまこ」に乗っかるじゃないですけど、聖地巡礼の最近のムーブメントに乗っかろうという気もあって。そこに(万城目さんがお話しになった)この流れがあるんだろうなと思いました。ブームに自覚的に突入して、お寺の名前、通りの名前、出しまくりでお送りしていますね。

:それはやっぱり意識しているの?

:そうですね、この本を片手に祇園や清水じゃない京都を歩けるある種の見取り図のようなものになればいいかな、というようにうっすら思いながら。

:僕実は、2週間前くらいに桝形商店街を歩きまして。

:へえー!

:京都で仕事があったついでに今度青木さんとお話するからというので桝形商店街行きましょうということで編集者の方と。

その時にはもう僕は(青木さんの本を)読んでいたので(本の中で紹介されている)スペアリブが美味しい店があるということで、でも名前が何度も読んでいるのに出てこなかったので編集者の人に出町座(出町にある書店兼カフェ兼ミニシアター)で青木さんの本を読んで調べて来なさい、と。(会場笑)

そしたら帰ってきて「『びぎん』です」と。そこで「びぎん」に行って。よく気づきましたね、初めて行った時には行かない筋でしたよね。しかも18、19の子には少し敷居が高いような。

:ものすごくお腹が空いていた時だったのであんまりこっちに行こうとかいうことを考えていなかったんです。でもどうしてもスペアリブが食べたかった。食い意地を張るといいこともあります!お店の前でモゴモゴしてたらたまたまきはったおじちゃんが声をかけてくれはって、そのひと押しがあって入ったという感じでしたね。

:ライオンキッチンも見たんですが、そこでバイトもされてるんですよね。ほんまに(青木さんが)いたかもしれませんね。

:全然いたかもしれません。

作家生活について後輩から先輩へ質問

トークショー後半では、文筆家デビュー一年目の青木さんから、直木賞作家でもある大先輩・万城目さんへの質問コーナーを実施しました。

:小説やエッセイを書き始められる瞬間に言葉と自分がどのように関係、作用して言葉が生まれていく感覚がありますか?

:それはですね、もう定まっているので揺らぎがないですよ。書き始めながらチューニングする時間も全部がめちゃめちゃ短いと思います。

書きながら探すのは10ページ20ページ先への良いフックで、全体をこういうふうに書こうというのはもう決まっていて、出来上がっているから書く、というような感じです。

:展開が決まっていても文章の1文字1文字は決まっていないわけだと思うんです。例えば助詞を「が」にしよう、「は」にしようというようなことを無意識の中で考えながら書いていかれると思うんですけれども、その時の言葉が生まれていく感覚というのはあったりしますか?

:リズムよくを意識しております。僕は毎日書くときに一番頭から読み直すタイプなので、冒頭は90回くらい読んでいるんですよ。かんなで木を削ったあと指で撫でて、ちょっとでも出てたらまた削るみたいな、そういう作業をひたすらやってるんで。一回でバシッとなんてそりゃ無理ですよ。しつこく何遍も何遍も読み返してとにかくリズムよくっていうふうにしていくので。

あと僕は自分のことを文章が上手ない方やなと思っていまして、下手くそやからこそ短くリズムよく並べていくことで勝負するっていうのを、自然に身につけた気がします。

だからみんなそれぞれ攻め手は違うと思いますよ。

:ただ万城目さんはそのような攻め手でやっていらっしゃると。なるほど。勉強になります!

トークショーの最後には観客の皆様からの質問コーナーも。

そして最後は全体で写真撮影を行い、和やかな雰囲気でトークショーの幕を閉じました。

おわりに

万城目さん、青木さんをはじめ、トークショーにお越しいただいた皆様、そしてこの記事を読んでくださった皆様、誠にありがとうございました!再び皆様とお目にかかれることを、出版甲子園実行委員会一同、心よりお待ちしております。

ゲストの青木悠さんのご著作『京大生、出町にダイブ!京都下町見聞録』の詳細は以下をチェックしてみてください!

https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309032320

また、12/14(日)には第21回出版甲子園決勝大会が早稲田大学大隈記念講堂小講堂にて開催されます!すでにお申し込みは締め切っておりますが、当日はYouTube配信もございます。ご興味を持たれた方はぜひ以下より詳細をご確認ください!

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こんにちは!私たちは、"「書きたい」を本にする。出版甲子園。" をテーマに、学生の商業出版を支援している早稲田大学公認サ […]

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