2025年11月団体員勉強会レポート 【大島依提亜さん勉強会】

2025年11月、出版甲子園で大島依提亜さんによる講演を行いました!
大島さんは、『万引き家族』や『秒速5センチメートル』『ミッドタイムサマー』など多数の映画ポスター、パンフレットを手掛けるかたわら、『君のクイズ』など書籍の装丁も手掛けるデザイナーです。第一線で活躍されているデザイナーの方の対談は、貴重な機会であり団体員一同も興味津々といった様子でした。
ぜひ皆様にもその熱気を感じていただきたく、Q&A形式でお届けします。
大島さんトークセッション
団体員(以下団):ブックデザインという仕事の範囲を教えて下さい。
大島さん(以下大):まず出版社から依頼が来るのでゲラを読んで文章を確認し、表紙やカバー、帯から別丁とびらなどを決めるという形です。ゴールとしては本屋で平積みされて目立つことではなく本棚に入れたときのかっこよさを追い求めています。なので読者に、「インテリアとしてのデザインを考えてそう」と言われたときとても嬉しかったのを覚えています。
団:映画のパンフレットと書籍デザインの共通点や違いはありますか?
大:実は業界では32ページ以上が本で、それより少ないと冊子に分類されるという違いはありますね。仕事の面では、本の装丁のほうは創作物そのものが本という形で包括されているので積極的に内容に踏み込むようにしています。それに対して映画のパンフレットは、ある意味で本編と全く関係のない存在ですよね。しかも形が決められていないので、かなり時間がかかりますね。その分遊び心を持ってできるのがいいところですね。
団:今まで制作された作品の中でお気に入りのものはありますか?
大:例えば『バス停に立ち宇宙船を待つ』です。この本は、紙の色がページを繰るごとに変わっていくんですよ。このデザインの理由は、子供の頃の体験を再現したかったからなんです。みなさんも夢中で遊んでいたら気づかないうちに空の色が変わっていたということありましたよね。その経験を本にできないかと思ってこの形式にしました。ただ問題があって外からでも紙の色の変化が分かってしまうんですよ。だからネタバレ防止のために、紙の三方向を金色で塗るという高価な加工を施しました。ずいぶん贅沢な金色加工の使い方です笑。
団:最近、著しい発展が見られるAIについてはどのように捉えているのでしょうか。
大:僕はそもそもAI的なものの登場が最近ではないんだと思ってます。というのもインターネットの登場によって人がSNSを使うことで、人々は大量に吸収した情報に無意識のうちに影響を受けて発信する存在になりました。それっていわばAI脳になっていたんじゃないかと。AIもインターネットの蓄積によって動いているという点で同じですよね。だからこそチャットGPTのような生成AIのツールも、すんなり現代人に受け入れられていったんだと思ってます。
団:なるほど、ではAIではなく人がコンテンツを作る意味はどのようにお考えですか?
大:僕自身も制作の中でAIを使用することはありますし、たとえAIが間違っていたとしてもそこから新しい視点を得られるので、使い方次第だと思ってます。ただ生成AIで途絶えるコンテンツもあるとは思います。受けてが面白いと感じるハードルがAIによって上がってしまうので。その中でも無くならないのは「関係性」だと感じています。人が作品を鑑賞するには作り手のバックボーンや思いまで汲み取るでしょう。それがAIの作品にはないので、「愛される」作品は人間しか作れないものだと思っています。
団:今まで一緒にお仕事された中で印象に残っている人はいらっしゃいますか?
大:和田誠さんですね。和田さんはまとっているオーラがぴりついていたんですよ。雰囲気はラスボスといった感じの怖さがありましたが、それが僕の中の「巨匠」の像と合致したのでとても嬉しかったです。
団:なにか学生時代にやっておいたほうがいいと思うことはありますか?
大:僕が大学生の頃は大量の映画を見ていました。今の僕を支えているのも、その時のインプットが大きいですね。みなさんも学生という立場を活かして、いろんなものを観たり読んだりしたほうがいいと思います。僕個人の意見ですけどあんまバイトとかはしないほうがいいんじゃないかと思ってます笑。
団:デザインの勉強をするにあたって、町中の広告を見るときに気をつけるべきことはありますか。
大:最近の広告はイメージよりも文字を使ってたくさん説明するものが多いので、おすすめはしない。それよりも自分が気になったデザインを、なぜ目についたのか考えてみるのがいいと思います。日常の中で自分が面白いと思うものを言葉に直して、アイデンティが確立されて来ます。
おわりに
大島さん、そしてここまで読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。
再び皆様とお会いできることを、出版甲子園実行委員会一同、心よりお持ちしております。
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