今泉拓氏が考える柔道の判定結果【行動経済学がパリ五輪を支配する#1】

出版甲子園発『行動経済学が勝敗を支配する』発売記念として、著者である今泉拓氏が独自の目線でオリンピックを語ります!

1. 柔道の判定結果について

27日に行われた柔道男子60キロ級の準々決勝の試合結果が日本中で波紋を呼んでいる。

準々決勝は去年世界選手権を制したスペインのフランシスコ・ガルリゴス選手と、五輪初出場で金メダルの期待が寄せられていた日本の永山竜樹選手の対戦だった。

永山選手は試合の終盤、審判の「待て」の合図に応じ寝技の手を緩めたもののガルリゴス選手はそれに気付かず、永山選手に締め技をかけ続けていた。永山選手が失神した状況を見て、審判は締め技によるガルリゴス選手の一本勝ちとした。

全日本柔道連盟もこの判定について抗議を行ったが判定は変わらなかった。

スポーツアナリストであり行動経済学とスポーツ分析を掛け合わせた研究を行っている今泉拓氏は、この準々決勝では世界選手権一位の選手と金メダルが予想されていた選手の対戦、オリンピックという大きな舞台、そして試合の終盤であったことから判定ミスが起こりやすい状況であったのではないかと語る。

今泉氏は自身が執筆した本『行動経済学が勝敗を支配する』で、注意力は予算のようなもので限界があり、注意力の枯渇が判定ミスを導くと述べている。

パリ五輪では柔道の試合は一日に男女合わせて70試合程あり、審判は16人である。単純計算すると審判1人あたり4試合程度、判定を行うことになる。もしも4試合連続で審判として判定を行えば、その分注意力は枯渇するに違いない。

2.判定ミスが起きないようにするには

ミスが起きやすい状況に対しての解決策として、今泉氏はAIによる判定を併用することを挙げている。例えば、柔道の一本の判定基準としてスピード、背中が付くこと、力強さ、着地が終わるまでコントロールをすることの4つがある。そのうちAIが判定可能であるのはスピードと背中が付くことの2項目であると考えられる。

この2つの項目をAIに判定してもらうことで審判の負担は減り、より注意力は長く続くと今泉氏は述べる。

また審判の数を増やしたり、審判の担当試合を減らすなどの対策を講じることで判定ミスを防ぐことができるのではないかと今泉氏は語った。

『行動経済学が勝敗を支配する』日本実業出版社

著者:今泉拓

東京大学大学院学際情報学府博士課程に所属。認知科学・行動経済学の研究をしている。学部時代からスポーツ分析にも取り組み、行動経済学✕スポーツで第18回出版甲子園準優勝を経験。日本実業出版社より『行動経済学が勝敗を支配する-世界的アスリートも”つい”やってしまう不合理な選択-』を出版。

発売日: 2024/06/14
ISBN:978-4534061102
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