元・数弱文系による「直観」高校数学への招待【既刊本紹介プロジェクト第1弾】
数学。
目の前に広がる白紙の記述欄。急かすように響く秒針の音……。
この言葉を見ると思い出すのは、こんな模試での情景です。
定期テストではそれなりに点数がとれるのに、模試や入試問題はさっぱり。
苦手意識が解消されないまま大学に進学し、しばらく数学からは遠ざかっていたのですが、「数学がわからないままだったなぁ」というモヤモヤはずっと心に残り続けていました。
そんな数学への後悔を引き摺る私の目に留まったのは、見慣れぬ言葉がついたこのタイトル。
「直観で解く」ってどういうこと?
興味を惹かれパラパラと第1章に目を通すと、こんな言葉が。
数学が苦手な人の多くは「このパターンの問題はこう処理すればよい」というふうに解いている。だから、機械的に問題を解くことはできるのだが、応用問題に太刀打ちできない。また、模試のように出題範囲が広くなると、知っているパターンの問題であっても、それを見抜くことができず、解けなくなる。
第一章 受験数学を直観的につかむ!(p.16)
私だ……。
高校生当時、数学に苦しんでいた私はまさにこの状態でした。
では、「数学ができない人」から「数学ができる人」になるにはどうすべきだったのでしょうか。これがわからなかったからこそ、私は泥沼の中に留まり続けていたと言えます。
一方、数学が得意な人の多くは「問題で問われていることはこういうことだから、この答えを求めるためにはあの考え方で考えればよい」というふうに、道筋をパッと立てて解く。つまり、直観的に解いているようなのだ。(中略)直観というのは、「論理的思考を繰り返す中で、だんだんとその思考プロセスが省略、無意識化されていく」ということだ。
第一章 受験数学を直観的につかむ!(p.17)
確かに模試での私は、問題が何を問いたいのかを汲み取り切れず、知っている公式や定理を闇雲に当てはめるだけで、手も足も出ない状態に陥ることもしばしばでした。
定理や公式といった道具を使いこなすために、その概念を掴むこと。
これが、「数学ができる人」になるための秘訣であることを知って、今更ながら、目から鱗が落ちる思いでした。
つまり『直観で解く受験数学』は、
「数学ができる人」の頭の中を、「数学ができない人」のために追体験させてくれる本
なのです。
大手進学塾に勤務し、「授業力コンテスト」に関西代表として出場した経験もある著者は、「数学ができない人」が何に苦しんでいるかを、教える視点から深く知っています。
「数学的帰納法」=「1番目と神様のお告げだけを調べて無限に調べたことにする方法」といった具合に、直観的イメージを平易で簡潔な一言で表現してくれます。
ともすればとっ散らかってしまう概念を解説しつつ著者なりの形を与えて、読者が問題を解く際に活用しやすくしてくれるわけです。
模試や応用問題に立ち向かうための下準備をアシストしてくれるこの本は、「数学が必要、だけど苦手」という文系高校生の数学克服への足掛かりになるかもしれません。
第19回出版甲子園実行委員会 編集局 R.O
『直観で解く受験数学』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
著:三上慎司
発売日:2015/6/25
1650円 (税込)
ISBN:978-4-7993-1691-7
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